糖尿病

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当方の専門としております内分泌(ホルモン)疾患として,最も患者数が多いのがインスリンというホルモンの効果や分泌の不具合によって惹起される糖尿病です.患者数も非常に多いため詳しく説明してみます.

糖尿病には大きく分けて,

  1. 2型糖尿病
  2. 1型糖尿病
  3. 妊娠糖尿病
  4. それ以外

と4つがございます.

「糖尿病」といわれる方のほとんど(95%)は(1)の「2型」と呼ばれるもので,長期の生活習慣の不良や,両親からの遺伝的傾向によるものです.両親が糖尿病であると,やはりかなり影響します.

"インスリン"という血糖を下げることのできるホルモンの効きが悪くなりやすく,それゆえに効かない分,体内ではインスリン分泌が過剰となり,それを無症状だからと放置すれば,インスリン分泌そのものも悪くなって,いよいよ血糖値を制御できなくなると,より一層全身の血管に弊害をもたらし,いわゆる「合併症」という,臓器障害を引き起こすようになります.

合併症の有名なところでは,「目が見えなくなる」「透析になる」「心筋梗塞」「脳梗塞」「足が腐って切断される」などでしょうか.しかしこれら合併症は,「糖尿病である」と,"より早期"に気づいて,"より早期"に対策し,治療に介入することで,確実に防御できます. 

その一方で,現在の健診システムでは,"より早期"の発見は残念ながら出来ないのです.ましてや上記の病態を意識しない治療をされてしまうと,治療に専念した割には合併症が進行します.専門医を称している医師にさえも,そのような治療が横行しています.

  1. 毎回通院しても,血糖値とHbA1cという指標の値しか見てもらっていない.
  2. 血糖が相当に不良であるからという理由で,長くインスリン治療を続けられている.
  3. 通院しても「食事・運動をがんばりましょう」としか言われない.

などはその典型でしょう.明確な根拠があって上記のことをしてくれていれば,問題ないのでしょうが,仮に自分の治療について質問しても,適切な説明がなされないままであるならば,要注意だと思います.糖尿病患者数は非常に多いので,内科医を標榜している以上診なければならない疾患なのですが,残念ながら,誰でも診られる疾患ではないのです.

現状行われている糖尿病治療には,上記のような理由から,大きな問題がある方が多々いることを認識しております.当院ではその改善に寄与する自負がありますので,現在の治療に疑問のある方はご相談下さい.もちろん現状治療が十分良好と思われる方には,そのまま同じ先生にかかって続けてもらうように説明いたします.不十分・誤りのあると思われる場合は指針に基づいて説明いたします.

あと,健診で尿糖が引っかかったので診てもらいに行ったら,「(糖尿病の成績表に該当する)HbA1cが5%台(一般に非常に良好な数値)と正常だったので気にしないでね」と言われてそのまま終わってしまう方がいます.こういう方も実に要注意です.併せてご相談下さい.

さて,(2)の「1型」と呼ばれるものは,同じ糖尿病でも生活習慣や遺伝とは全くもって縁遠い疾患であり,発症は2018年現在の時点では「運」に左右される疾患です.

(1)の「2型」と同じ「糖尿病」と称されてしまうのは少々酷な病態で,全く別の傷病名にしても良いのでは,と予てより思っております.

「1型」は,絶対にインスリン注射が必須の疾患でありますが,これもまた,治療が基本から逸脱されている方を散見します.やはり本疾患もHbA1cさえ良ければよい,というものでは無いので,そのように治療をされている方や,インスリンが必要以上に大量投与されている方,治療に疑問のある方,特にHbA1cしか見てもらってない方はご相談下さい.

(3)の「妊娠糖尿病」は,妊娠して初めて糖尿病といわれた方です.妊娠中の徹底した血糖制御が必要となり,お母さんは心理的に大変苦労します.当院でも制御は可能ではありますが,産科医師との連携が重要で,産科に付随する内科に通院した方がよい場合が多いです.いずれにしても御相談いただければ対応いたします.

(4)のその他の糖尿病は,内分泌疾患が基礎にあったり,遺伝性疾患があったり,投薬の副作用などによるものです.まれではありますが,自分がここに該当するのにもかかわらず,(1)の2型と誤診を受けたまま治療を受けている方も,しばしばいらっしゃいます.いろんな情報に触れることで,自分がもしやこれに該当するのではないか,と思われる方は,まずはかかりつけの主治医によくご相談下さい.当院でもご相談に乗ることはできますが,内容によっては診療時間中には対応できないこともございますので,その場合は別途予約させていただきます.