急性胃腸炎

腹部のイメージ写真

いままでなんでも無かったのに,急にあるいは徐々に,吐き気や嘔吐・下痢をし始めた方は,多くは急性胃腸炎です.腹痛は通常そこまで強くありません.

急性胃腸炎は,特に冬に流行するウイルス性胃腸炎においては,本人は相当につらいのですが,実はあまり病院に来るメリットがありません.基本的には下痢は出るほどに出し切ってしまい,吐き気や嘔吐がある内は食事を控えて頑張ると,1~2日で,のどが渇いて飲みたい・食べたいという気になってくれば,回復はもうすぐそこです.

しかし,食べられない時期や嘔吐の期間が3日を過ぎてくると,少々事情が変わってきます.食中毒かもしれませんし,下痢がなければ何らかの腸閉塞かもしれません.その場合には脱水症も進行しますので,点滴ができるような,入院設備のある病院に予めかかる方が時間短縮を考慮すると賢明かと思われます.

急性腹症

上記と違い,"急な腹部の激痛"で発症した場合,医学的に多くは危険で,かなり急がなくてはなりません.場合によっては緊急でその日のうちに外科手術を要します.こういった病態を総称して急性腹症(きゅうせいふくしょう)と呼びます.

急性腹症には,腸がつまる「腸閉塞」や腸がねじれて壊死する「腸捻転」,胃に穴が空く「胃穿孔・腸穿孔」などの,いずれも緊急手術を要する消化器の病気のほかにも,飲酒のしすぎなどによる急性膵炎,心筋梗塞のような循環器疾患,卵巣茎捻転のような婦人科疾患,腎梗塞のような泌尿器疾患など,いずれも入院しないとどうしようもないものの確率が高いです.(尿路結石症は激痛ですが,入院を要しないにしても診断にはCTの撮影が寄与します)

急激な腹痛は,絶対にクリニック・診療所などの町の診療所にかかっている場合ではありません.速やかに救急外来を併設する入院設備のある病院にかかることを強くおすすめします.

その他の胃腸疾患

その他の胃腸疾患は胃潰瘍,機能性消化管障害(FGID),胃悪性腫瘍,大腸ポリープや大腸癌,クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患(IBD),など,どうしても内視鏡検査による診断と,定期的な内視鏡による経過観察が必要です.

当院は内視鏡検査の機材(胃カメラや大腸カメラ)がございませんので,それら機材のある病院・クリニックにかかられることをお勧めいたします.

もちろん,そういった病院で「内視鏡的に異常はないが,どうも胃がもたれる,胃が痛い,げっぷが出る,食欲がない」などの愁訴については,特に大きい病院ですと内視鏡的に何もない,といわれれば治療が終了となることが多々ございますので,このような方々は当院でフォローいたします.内服薬の選択,特に漢方薬などが劇的に効を奏する例が多くございます.

当院は消化器内科が専門ではありませんが総合内科ですので,一般論をお話ししております.